DIAGNOSIS

診療内容

胃カメラ(経鼻胃内視鏡検査)について

  • #内科

経胃内視鏡検査(胃カメラ)について

胃がんは日本人に多いがんの一つですが、早期発見により治すことのできるがんでもあります。
胃がんハイリスク検診(ABC検診)では採血により血中の、「ヘリコバクター・ピロリ抗体(HP抗体):ピロリ菌が住み着いていいるかの指標」
血中ペプシノゲン(PG値):胃の萎縮度の指標を測定し、「胃がんになり易いか、なり難いか」を診ます。
胃カメラとは
内視鏡を鼻や口から入れて、食道、胃、十二指腸の病気(炎症、潰瘍、ポリープ、がんなど)の有無を調べる検査で、多くの消化器症状の早期発見につながります。一般的に「口」から入れる「経口内視鏡」を実施しておりますが、「口」から入れようとすると嘔吐反射が起こります。舌根部(舌の付け根の部分)を刺激することで「オエッ」とする反射です。そのために検査前にゼリーもしくはスプレーの麻酔剤を喉に使用します。
口からの内視鏡は苦痛を伴うため、「鼻」から入れる内視鏡検査「経鼻胃内視鏡」を行っております。経鼻胃内視鏡では、「鼻」から入れていくことで喉を刺激せずに検査が行えます。
また口が開いているので検査中の会話も可能です。内視鏡は経鼻に対応するため非常に細く、そしてやわらかく作られていますので、口からの内視鏡と比較して楽だと感じる方が多いようです。

胃カメラ検査の費用

1割負担 2割負担 3割負担
胃内視鏡検査(観察のみ) 約1,500円 約3,000円 約4,500円
胃内視鏡検査+生検+病理組織検査 約3,000円 約6,000円 約9,000円
こんな方にお勧め
  • 検診などでピロリ菌感染の指摘を受けた
  • 胸やけをおこすことがる
  • 食事が胸につかえる事がある
  • 食欲不振が続く
  • 頻繁に胃がもたれる
  • 胃がむかむかする
  • ゲップが多い
  • 酸っぱいものが胃から上がってくる
  • 黒い便が出る
  • 貧血を指摘された
  • のどにつかえなどの違和感がある
  • みぞおちが痛むことがある
  • 吐き気がある

胃カメラ検査、鼻からと、口からの違い

胃カメラ(胃内視鏡検査)では、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」と口から挿入する「経口内視鏡」の二つの方法があります。

近年の内視鏡は技術の進歩により、スコープが細くなり、お口からの検査でも比較的楽に受けられるようになりました。しかし、口からカメラを通す際に、嘔吐反射が生じることがあります。この反射は、人によっては「オエッ」となることがあり、検査が苦痛に感じられることもあります。

一方、経鼻内視鏡はお鼻からカメラを入れる方法で、嘔吐反射が出にくいという利点があります。しかし、お鼻を通すため、鼻の通りが悪い方や鼻が狭い方は、痛みを感じたり、鼻血が出ることもあります。

どちらの方法にもメリットとデメリットがあり、患者さんの状態や希望に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。鼻が狭くて挿入が難しい方や、口からの検査に慣れている方を除いては、経鼻胃カメラをお勧めします。

胃カメラ検査では、経鼻内視鏡や鎮静剤を使用する選択肢もあります。どの方法を選ぶべきか迷った場合は、専門医に相談することをお勧めします。自分に合った検査方法を選ぶことで、より安心して検査を受けることができます。

 

胃カメラ検査の流れ

事前準備

  • 食事制限: 検査の6時間以上前から食事を避けていただきます。※水分は少量であれば摂取可能な場合もあります。
  • 服装: 検査時はリラックスできる服装に着替えます。
  • 薬の確認: 服用している薬について、確認いたします。特に血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を飲んでいる場合は、事前に相談が必要です。

検査前の説明

  • 検査の内容について説明いたします。
  • 鎮静剤(リラックスできる薬)や局所麻酔(喉を麻痺させる薬)を使用する場合、同意書にサインをいただきます。

検査の準備

  • 体位: 検査は、一般的には左側を下にして横たわった状態で行います。この姿勢により、胃や食道が見やすくなります。
  • 麻酔: 喉の奥に局所麻酔薬をスプレーして、カメラが通過する際の不快感や痛みを軽減します。鎮静剤が使用される場合、リラックスして検査を受けることができます。

胃カメラの挿入

  • 口または鼻からカメラを挿入: 検査方法によって異なりますが、通常、口からカメラを挿入します。経鼻内視鏡の場合は、鼻からカメラを挿入します。
  • 検査の進行: 内視鏡(カメラ)は細長く柔軟性があるため、食道、胃、十二指腸の状態を観察します。カメラにはライトと映像機能があり、モニターに映像が映し出されます。

検査中

  • 検査中、医師がカメラを使って消化管の内側を観察し、異常がないか確認します。必要に応じて、組織を採取する(生検)場合があります。この場合、痛みはほとんど感じません。
  • 検査中は少し不快感や圧迫感を感じることがありますが、ほとんどの患者さんは耐えられる程度です。鎮静剤を使用している場合、眠っているような状態で検査を受けることができます。

検査後

  • リカバリールーム: 鎮静剤を使用した場合、検査後はリカバリールームで休憩します。薬が切れるまでしばらく横になっていることがあります。
  • 喉の痛み: 喉の麻酔が切れると、若干の痛みや違和感を感じることがありますが、通常は数時間で収まります。

検査結果の説明

  • 検査後、医師が検査結果を説明します。異常が見つかった場合は、必要に応じて追加の検査や治療が提案されます。結果がすぐに分からない場合もあり、その場合は後日、診察にて結果をお伝えいたします。

帰宅

  • 鎮静剤を使用した場合、しばらくは車の運転や重い作業は避けるよう指示されることがあります。また、検査後に体調に不安がある場合は、家族や友人に付き添って帰宅することをお勧めします。

検査後の注意点

  • 食事の制限: 検査後、喉が麻痺しているため、麻酔が完全に切れるまで、摂取を避けていただきます。
  • 異常を感じた場合: 検査後に異常を感じた場合(吐き気、腹痛、出血など)は、すぐにご連絡いただきます。

胃カメラ検査は、早期発見や治療が可能な病気を発見するために非常に有用な検査です。

検査を受けるポイント

胃カメラ検査の技術は日々進歩しており、患者さんができるだけ負担なく検査を受けられる方法が工夫されています。患者さんに必要な検査のみを行い、不要な検査や処置はせず、医療的に必要な範囲で検査や処置を実施しています。また、保険適用範囲内での検査についても、必要な検査に限定しているため、安心して受診いただけます。

胃カメラ検査でわかる胃の病気

胃炎

  • 胃の粘膜が炎症を起こしている状態です。急性胃炎や慢性胃炎があり、アルコールやストレス、薬物の影響、感染症(例えばヘリコバクター・ピロリ菌)などが原因で発症します。

胃潰瘍

  • 胃の粘膜が傷つき、潰瘍ができる病気です。胃酸の過剰分泌やヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与しています。出血や穿孔(胃壁に穴が開くこと)を引き起こすこともあります。

胃がん(胃癌)

  • 胃の内壁に悪性の腫瘍ができる病気で、早期に発見することが重要です。初期の胃がんは症状がほとんどないこともあり、定期的な検査が推奨されます。

胃ポリープ

  • 胃の粘膜にできる良性の腫瘍です。ほとんどが無症状で、定期的に観察することが推奨されることもあります。ポリープの一部はがんに進行する可能性があるため、検査で確認することが重要です。

逆流性食道炎(胃食道逆流症)

  • 胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を引き起こす病気です。胃の内容物が食道に逆流して食道が傷つくことがあります。胃カメラで食道の状態を確認することができます。

ヘリコバクター・ピロリ菌感染

  • 胃の粘膜に感染する細菌で、胃炎や胃潰瘍、胃がんのリスク因子となります。胃カメラで粘膜の状態を確認し、ピロリ菌の検査も行うことができます。

胃の出血

  • 胃潰瘍や胃がん、血管異常などによる出血が原因で、胃カメラで出血部位を特定し、止血処置を行うこともできます。

胃の神経症

  • 胃の運動や消化に関する神経機能が異常を起こしている状態です。これは内視鏡での直接的な診断は難しいものの、他の病気を除外するために胃カメラが利用されることがあります。

食道静脈瘤(胃静脈瘤)

  • 胃の静脈が異常に膨らんで破れることがある病気です。主に肝硬変が原因となり、出血のリスクが高くなるため、胃カメラで確認することが必要です。

異物の確認

  • 食べ物や飲み物、薬物などが誤って胃に残った場合や異物が食道に詰まった場合、胃カメラを使って確認し、取り除くことができます。

胃カメラ検査は、胃の内部を直接観察できるため、これらの病気の早期発見や診断、さらには治療にも役立つ重要な検査です。症状に応じて、医師と相談の上、適切な検査を受けることが大切です。